2007/05/08

卒業直前”言葉の暴力“で退学となる

 長年この仕事をしていると、日本の学校では起こり得ないだろうと思われる事態(学校の決断)に直面することがある。日本の3月卒業はまれで、世界では6月卒業が多い。卒業式を目前に、まったくの予告や警告がなく「明日から学校に来てはいけない」「明日の便で帰国させる」と退学通知が届くのだ。
学校は、在学生達の安全で健康的な生活を守るために思い切った措置をとることがある。一方的と思える理由で卒業直前であっても退学通知が届いた学生がいる。家族とって到底納得できるものではない。弁護士を雇って、学校を訴えたい、という家族もいる。「それでもぼくはやっていない」と神に誓えるなら訴えることもできるだろう、しかし、多くの時間と費用をかけても勝てる保証がないことを覚悟しなくてはならない。

退学処分の理由には窃盗、飲酒、喫煙、ケンカなど原因が明瞭なものもあるが、状況が把握しにくい“セクシャルハラスメント“とういこともある。言葉による嫌がらせを継続的に受けた、と女子学生達が学校に訴えられて退学になった学生がいる。アメリカ人の弁護士から冗談半分で「見知らぬ女性に数度名前を聞くだけでもセクハラで訴えられる」と聞かされたことはあるが厳しい処分だ。アメリカの現地法人の日本人社長がセクシャルハラスメントで訴えられ多額の賠償を請求されたことは記憶に新しい。言葉による暴力は、学校は加害者とその保護者に事前に警告し注意を促さなくとも、独自の調査の結果で退学処分を即決するのである。被害を受けた学生とその家族を守るためだ。

また、ある学生は、自らの強さ?を誇示するために、“根性焼き(たばこの火を手の甲などに押しつけて傷をつける行為)”で退学させられた。彼の傷跡の話が広まり、学校は学生に事情を聞き、すぐに精神科医に診察を受けさせた。自傷行為は自殺に繋がると医師が判断した。成績は優秀だがだらしない服装とモヒカンカット、いつも不満を抱えているような仕草や先生や学生に対して“礼儀のない目つきや言葉遣い”が悪い相乗効果を生んだのだ。彼は学校のルールに具体的には抵触してはいなかった。

このような突然の判断を下される事があることを留学生とご家族は知っておいて欲しい。中学や高校でも”言葉の暴力“の取り扱いは今後ますます厳しくなるだろう。ルールに明記されていなくても日々の”生活態度や姿勢“も影響する。私たちは「相手に不快な思いをさせない」ということに十分意識を払うことが大切だ。しかし、萎縮することはない。若いのだからケンカもするだろう。 難しいことはない、「ここは日本ではない、わたしは外国人、みんなに御世話になっている」という感謝と慎みをもって行動すれば誤解は起きないだろう。 彼等のように、早く見つかり、罰せられ、自分のしたことに深く反省できる学生は幸いである。 若いうちのことは、やり直しはいくらでもできる。いくらでも応援する。大人になってからでは遅いのだ。   あさい