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【OBOGシリーズ:異国での学びが与えた影響】第7回:異文化の中で育った「心」と「居場所」

「留学」は人生の中で大きなアドベンチャーであり、日本では味わえない体験を通して、自分自身を深く見つめる絶好の機会です。留学中に気づく自身の変化、また留学を終え社会に出た時に「留学体験」が自分に何をもたらしたか?を実感する時が多々あります。

「異国で生活すること」「異国で学んだこと」が自分をどう変えたか?その後の人生にどう影響を与えているか?EDICMのOB/OGや知人が留学を振り返り、その体験が「現在の自分」をどう形作っているのか?

シリーズ第7回は、EDICMからアメリカのボーディングスクール、Fountain Valley School of Coloradoに留学した覚張日菜さんをご紹介いたします。


一つの出会いが進路を変えた日


2014年、英語が好きで上達したいと思い、留学相談にEDICMを訪れた際、偶然にもFountain Valley School of Colorado(以下FVS)の在学生数名と会いました。彼らは春休みで一時帰国中でした。FVSでESLを教えているCzop先生も一緒でした。EDICMのスタッフが「ボーディングスクールについて話を聞いてみない?」と計らい、寮生活や友達の作り方、日本の学校との違い等、たくさんの質問をし、丁寧に回答していただきました。Czop先生からは、「英語力がなくてもESLクラスがあるので、心配することはない!と激励され、FVSへの出願を決めました。FVSはコロラドロッキー山脈の大自然に囲まれ、アメリカ西海岸的な自由な雰囲気をもつ学校と感じました。ご縁をいただき、迷うことなくFVSに進学する道が拓けました。


ロッキー山脈に囲まれたFVS

ロッキー山脈に囲まれたFVS


「助けて」と言える強さを学ぶ


FVSではさまざまな背景をもつ人々と寮生活をする中で、考え方の違いに戸惑うこともありましたが、相手を知ろうと自ら働きかけることの大切さを日々の暮らしの中で学びました。振り返れば、自分は日本では受け身だった、新しい環境で友達ができるのを待っていたと思います。しかし、アメリカでは「助けて」と声を出さなくてはいけない、日本人のように察する文化がありません。先ずは相手に与えること。自分の居場所を自分で決め、つくることが必要です。私は「ここで花を咲かせたい」と覚悟し、自分の居場所を自分で築いてゆくことを学びました。


FVSのフィットネスクラブ(本人は前列の左端)

FVSのクラブ活動(本人は前列の左端)


挑戦が自信に変わるとき


チャレンジの一つとして、ミュージカルに参加しようと思い、オーディションを受けた時は緊張しました。他の学生より英語力が劣る私でしたが、3年間続け、人前でパフォーマンスができるようになりました。スポーツではサッカー部に所属しました。FVSは標高2000メール以上に位置し、空気が薄いため、走ると倒れそうになることが何度もありました。ロッキー山脈を見ながらの乗馬はまるでカウボーイ映画のワンシーンのような景色、そして散歩の途中ではプレーリードッグをよく見かけました。大自然の中で暮らすことで、自分の心が解放され、満たされたのでしょうか。そんな私を見て、母親は「以前より明るく、強く、前向きになったね」と言います。


自ら問い、学ぶという経験


一方、学習面でも新しい気づきがありました。歴史のクラスでリサーチプロジェクトの課題が出されました。各人が歴史上の人物を選び、リサーチし発表するという流れです。私はアイヌ出身で初めて日本の国会議員となり、生涯をかけてアイヌ文化の保存や継承に尽力した萱野茂さんについて、リサーチし、プレゼンしました。この発表が先生やクラスメイトから高い評価を得、勉強の楽しさを実感しました。日本の学校ではテストに向けて暗記することが主で、受け身の学習でした。FVSに来て、自主的に問い、回答を見つけるという能動的な学習の体験ができたことも、大きな財産です。


FVSでのかけがえのない仲間たち(本人は前列左から3番目)

FVSでのかけがえのない仲間たち(本人は前列左から3番目)


ICU(国際基督教大学)で深めた「平和」への問い


FVS卒業後、国際基督教大学(ICU)に進学しました。海外に行ったからこそ、日本のことをもっと知りたいと思い、ICUが提供する「平和研究」専攻に惹かれました。心理学、政治学、哲学、宗教学、経済学等様々な側面から平和について学ぶことができます。政治思想の教授が「一人の心持が政治を変える」と言った言葉に刺激を受け、学びを深めるうちに、「平和な社会は、平和な心から生まれるのではないか」という問いが、自分の中に生まれてきました。その問いに向き合う中で、宗教哲学にも関心をもつようになりました。学びを通して、平和とは遠い国の出来事ではなく、日々の暮らしや、一人一人の心の持ち方にあるものだと感じるようになりました。

偶然ですが、FVS時代に仲良くしてくださった図書館員の方が、卒業時に私に本をプレゼントしてくれました。それはThe Tao of Pooh(くまのプーさんののんびりタオ)という本で、「この本はあなたに合っている」と言いました。タオイズムとは道教という古代中国に起源をもつ哲学で、老子や荘子の思想に基づいています。人間は天地自然に従い、無為自然な生き方を追求することが重要とされています。中国思想、漢詩、メディテーションなどに興味をもつようになりました。

ICUで学ぶ海外からの留学生は、日本の文化や平和に興味を持っている学生が多いため、私のテーマである「平和な社会は平和な心から生まれる」について、日々語り合う機会に恵まれました。新しい友達ができると、彼らの出身地を旅することもありました。

夏休みに、大学のプログラムでコスタリカに一か月滞在し、自然環境や保護について学びました。インド旅行では人口密度が高い国ゆえ、他人を無視しないと前に進めない不便さを感じ、飲酒運転のタクシードライバーが、山道を平気で運転するなど命の軽さに驚きました。また、山岳部に入り、国内の山々を登り自然の偉大さを実感しました。


地域の魅力を外へ届ける挑戦


大学時代、多くの旅をする中で青森、特に津軽地方が自分にとって、一番印象的な土地でした。津軽弁や津軽三味線、ねぶた祭りなど、よく知られた文化が今も強く残っています。厳しい自然の中で育まれてきた世界に誇ることができる独特な文化に、私は強く惹かれています。就活中、東京の会社から内定をいただきましたが、高層ビルで働く自分の姿が想像できず、辞退しました。

2021年から3年間北津軽郡中泊町役場に所属し、地域おこしのスタッフとして勤務しました。SNSを活用した情報発信、地域イベントのサポート、および地域運営を支える事務的な業務に携わりました。また地域在住の外国人の方々への日本語指導や、海外からの来訪者に向けた翻訳業務なども担当しました。日本を訪問する外国人観光客の増加に伴い、青森にもクルーズ船が停泊します。また、台湾や韓国便が増便しています。

特に印象に残っている出来事として、アメリカから「こぎん刺し」に強い関心をお持ちの団体の方々が訪れたことがあります。こぎん刺しは、「江戸時代に津軽藩の倹約令により農民が麻布の着物しか着用できなかった時代背景から生まれ、厳しい冬を乗り切るための保温・補強として、麻布に木綿糸で刺し子を施す技法」として発展した伝統工芸ですその際、5名ほどの方々が来訪されましたが、質問が次々と飛び交い、皆さんが一斉に話し始めるほど熱心で、対応が追いつかないほどの大盛況でした。
津軽では日常的に当たり前となっている文化や風景が、外部の方々にとっては非常に大きな魅力として映ることを、改めて強く実感した機会でした。


雪深い冬の青森‐福一農園の名物COOの猫

雪深い冬の青森‐福一農園の名物COOの猫


津軽弁が繋いだ世界との交流


昨年、日本語教師の資格を取得いたしました。今後はオンラインを活用し、海外の方々に日本語を教えたいと考えてます。

これまでに一度、フランス・イタリア・アメリカ・ロシアなど多国籍の方々を対象に、津軽弁を紹介する機会がありました。

津軽弁は日本語の中でも特に独特で、参加者の皆さまに興味を持っていただきました。方言詩の先駆者である高木恭造氏の詩を題材に取り上げ、標準語との音の違いやリズム、独特の表現についても解説しました。現代の津軽では一部通じにくいほどディープな表現もありますが、その言葉のリズムや文化的な深みが海外の方々に非常に興味をもっていただけました。

言葉そのものだけでなく、「その土地の文化としての日本語」に対する関心の高さを強く感じました。


丁寧に栽培されている福一農園のりんご

丁寧に栽培されている福一農園のりんご


津軽ブランドを世界へ


現在青森県弘前市で、「福一農園」という小さな林檎農家に嫁ぎ、家族と共に林檎づくりに携わっています。大学時代、弘前で参加したファームステイを通して、夫と出会いました。自然と向き合って暮らす中で、心の在り方や、土地に根差して生きいることの大切さを改めて感じています。これまで学んできたことや、経験を現在の暮らしの中で少しずつ生かしていけたらと思っています。

また、津軽には林檎やこぎん刺しだけでなく、津軽塗、ねぷた絵など、多彩で魅力的な伝統文化が数多く存在します。これらを組み合わせた新しいビジネスも現在構想中です。

津軽人は「じょっぱり」(意地っ張り、強情っぱり)と言われますが、一人一人が個性的です。裏表や作為がなく自然に動いている。陽気でよくしゃべり、情熱的。Tao思想に近いと感じています。

さまざまな地域を見てきたからこそ、「津軽」という土地そのものが非常に個性的で、価値あるブランドであると強く実感してます。この地域の魅力を、国内外のより多くの方々に広くお伝えしていきたい、それが私の追及したいテーマです。異なる文化や生活様式に関心を持ち、尊重し合うことで各人の中に平和で豊かな心が育まれると信じ、青森の良さを発信してゆきたいと思います。


福一農園の紹介


東京・青山のマーケットにご家族とFVS時代の友人と一緒に出店(本人は右端)

東京・青山のマーケットにご家族とFVS時代の友人と一緒に出店(本人は右端)

覚張さんがご家族で運営されている福一農園では、農薬を4~6割を削減し、化学肥料を使用せずにりんごを栽培しています。
オンラインでの購入も可能ですので、是非、下記のホームページよりご確認ください!

https://www.fukuichi-farm-home.com/


知る・触れる・イベント情報

エディクム主催のイベントや関連イベントをご紹介いたします。

教育を考えるとき、ぜひ一度ご相談ください

留学する・しないを含め、まず一度ご相談ください。
最適な方法を一緒に考え、探しましょう。

大切な子どもに残してあげられることは何でしょうか。たとえお金や物がなくなったとしても、教育を受けたことによる目に見えない「経験」は、貴重な財産としてその子の人生を豊かに彩る礎となるに違いありません。
グローバル時代と言われて久しい昨今、子どもの教育・経験を考える時に「海外留学」も選択肢のひとつとして当たり前になってきました。少なくとも、子どもがそれを望んだ場合には、保護者は耳を傾け、機会を与えてあげてほしいと願います。

エディクムは「世界のどこに行っても活躍できる人になってほしい」と願いながら、50年の間に7,800人以上のお子さんの海外留学をサポートしてきました。その実績に基づきながら、1人ひとりに丁寧なカウンセリングを行います。気持ちが固まっていなくてもかまいません。あなたの留学への思いを聞かせてください。

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